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何でもあり

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 支援している日舞のグループが、定期公演のために夏の間から、高校のオーデトリアム借用の話を通し、料金は全額前払いで契約を交わしていたにも拘らず、開催日の2日前になって教職員のストが長引いて、開校の目途がつかないので契約はキャンセル、という通達が届いた。
 ストライキは既に一週間になろうとしていたが、まさかオーデトリアムの使用契約まで解約されるとは思わなかったがどうなるものでもない。早速ディレクターらが走り回って代わりの会場を探し、たぶん来てくれるであろうコミュニティーの人々に会場と開催時間の変更を知らせるべく、メールやソーシャルメディアも駆使して広報に努めたが、相手が不特定多数なだけに限度がある。
 当日は開催時間の前後3時間近くボランティアに会場前で新しい会場への誘導をしてもらったが、会場はノースサイドからダウンタウンへ、時間は午後1時から6時へと大幅な変更で、ご丁寧に雨まで降り始めた。
 小さくても劇場らしい会場を望んだが、急なこととて見つからず、何とか大きなダンススタジオを借りることが出来た。
 雨の上にミシガン湖からの強い風まで吹き始め、最低の状態。この日のために一生懸命稽古を積んできた出演者が、空っぽの客席を前にして踊るのかと思うと情けなくなってくる。
 ともかく舞台を設置して客席用に椅子を並べ終える頃、ほとんど諦めかけていた観客が少しずつ来場。
 強い風雨の中、足元をびしょ濡れにした入場者を見たとき、思わず胸が熱くなった。はるばるインディアナから来てくれて、レストランで食事をし、遅れた開演時間に合わせてくれた人もいる。
 前夜私を家まで送ってくれたウーバーの運転手に、「よかったら是非観に来てね」と誘っておいたら、なんと母親まで連れてきてくれた。客席の椅子が次々埋まってゆく。とうとう席が足りなくなり、ホールに並んでいた椅子までスタジオに入れながら、そんなに捨てたものではないと思い直し、世の中なんでも有りで、その都度出来るだけ努力をすれば、切り抜けてゆけると思い直したことである。【川口加代子】

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