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ナインス・サーキットの危惧

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 数年前就任以来トランプ大統領はメディアを通して、頻繁にナインス・サーキット(Ninth Circuit)を「目の敵」にする発言が多い。真相を解明しよう。
 これは「第9巡回裁判所」のことを指す。いくつかの州をまたぐ地理的に広めの管轄範囲における裁判所だ。連邦裁判所制度には3段階あり、最初(第一審)の地方裁判所(1訴訟、判事1人)、最後の最終的な採決をする最高裁判所、そして中間の段階(第二審)で主に連邦上告を処理するのがこのサーキット・コート(1訴訟、判事3人)だ。再度の裁判は行わず、新たな証拠も目撃者の証言も聴取せず陪審員もいない。基本的に公平な法律が適用され一審の判決は妥当かをレビューし採決する。
 アメリカ開拓時代の名残から、判事が数々の他の地域にも出かける、巡回する(サーキット)という意味で今でもそう呼ぶ。ワシントンDCに本部を置く連邦巡回控訴裁判所、DC巡回区、そして全米11の巡回区を全部合わせて13の巡回裁判所(計94人の判事)が存在する。
 ハワイ、アラスカ、ワシントン、オレゴン、モンタナ、アイダホ、ネバダ、アリゾナ、カリフォルニアの9州、人口6千万人を有する最大規模で、最もリベラルと言われ、サンフランシスコに本部を置くのがこのナインス・サーキット(計29人の判事)だ。
 連邦巡回の判事は、大統領に任命され、上院で承認され、生涯引退まで任務遂行する。以前カーター大統領政権時に数多くのリベラル派の判事が任命された。毎年7千の訴訟レビューで最高裁まで到達するのは、100~150のみ。つまり巡回裁判の判事たちの最終採決が多くなるので非常に重要な職務である。
 保守派のトランプ大統領は、この判事たちの識見や採決が気に入らないのだ。ナインス・サーキットのみがリベラルの過半数を唯一守っている。現在29人のうち、トランプ就任前は11人差で民主党安泰の図式が、今では民主党に任命されたのが16人に対し、共和党が13人とわずか3人差にまで迫っている。万が一トランプが再選してしまうと…非常に危惧する。【長土居政史】

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