スマートホーム

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 3年前にスマートホームの売買に関わった時は、驚きの連続だった。居間と主寝室の壁に設置された小さなパネルで豪邸のドアの鍵、室内外の電気、噴水、全てがコントロールできる。それとスマートフォンが連結し、実際には手元のスマホですべてを操作する。
 2階の寝室で寝た時に、ふと、玄関の鍵をかけたかと不安になる時がある。階段を下り、確かめる。寒い冬など面倒である。それがスマートホームであれば、スマホで鍵をかけ、ついでに電気もチェック。便利だ。しかしこれは豪邸の話で、うらやましい他人事であった。ハイテク音痴の私にはノーサンキューのものでもあった。
 ところが、先日、引退者専用のスマートホームの売買に関わった。米国大手老舗のビルダーの新築だ。いたれりつくせりとはこのことか。起床時はベッドの中からエアコンを希望の温度にオンする。電気をつける。チャイムがなると1階の玄関に誰がきたのか、スマホに映る。
 おまけにこの二階家のタウンハウスには1戸1戸、個人エレベーターが付いている。浴室は広いシャワー室で、段差ゼロ。細部に配慮があり、車いす生活になっても、このまま住める。高い天井、広い台所は食堂、居間兼用の大きな空間。窓からは自然光が溢れる。はやりの色と素材の室内デザインは、まるで若者住宅そのものだ。衝撃を受けた。
 家は何十年ともつ。リサーチを重ねた上でのビルダーの新築だ。好き嫌いにかかわらず未来の家はスマートホームになるだろう。ハイテクに後ろ向きの自分を反省した。スマホに繰られている現代人だが、家の中心は壁が取り除かれ、皆が集まり憩う一つの大きなグレイトルームという空間になっている。それだけは確保されているのがうれしい。
 便利になった余りの時間をどう使うかが肝心要のことだ。人間の証である人とのつながりが一層大切になる。【萩野千鶴子】

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