障害者と優生学

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 年々集団殺傷事件が増えているように感じる。アメリカの大学や高校などで多発し、精神障害のある人が関わっているケースが多い。日本では通常銃が入手できないことでその数が少ないが、京アニ事件ではガソリンが使われ、相模原の障害者殺害にはナイフが使用された。また集団ではなく両親の虐待などによる殺傷も年々増加している。
 親による虐待は当然ながら低年齢層の子供が多いが、柿本愛里さんのように33歳の犠牲者もいる。10年以上監視カメラ付きの別棟に隔離監禁され、痩せ細った末の凍死。元農林水産事務次官の息子熊沢英一郎さんが実親に殺害された時は44歳だった。川崎で起った別の事件では容疑者の岩崎隆一は51歳だった。この3つの事件に共通しているのは当事者の3人に精神障害があり、熊沢英一郎さんと柿本愛里さんは統合失調症、岩崎降一容疑者は長期間の引きこもりが続いていた。
 新型コロナウイルスのニュースで疎遠気味の相模原津久井やまゆり園事件だが、数日前の判決で被告に死刑が宣告された。加害者植松聖死刑囚の場合、読み書きの能力も人並みで、いわゆる「異常」ととれる部分は、事件の動機でもある「意思の疎通のとれない障害者は死んだほうが良い」という持論のみで、精神障害による妄想ではないだろう。植松聖死刑囚の場合は彼の思想、信条の基に障害者の殺害を計画・実行に及び、判決後の現在も責任の所在を認め、思想、信条とも変わっていない。
 今回の事件で遺伝などによる不良子孫の出生防止を目的として、特定の国民に国が不妊手術などを施した優勢思想を思い起こした。日本では第二次大戦前には国民優生法があり、戦後には優生保護法で90年代半ばまでに1万5千人以上が同意のないまま手術を受けさせられた。少数の人たちは自らの意思で受けたが、多くの場合障害者排除の名目で強制的に手術を受けさせられ、子供を持つ喜びへの道を断たれた。資料によると多くの場合強制的で半分騙されたケースも多くみられる。
 前述の事件などで犠牲となられた方々のご冥福、またご家族の一日も早い回復をお祈りします。【清水一路】

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