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決断できないツケ

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 「こんな状況が続けばもって2カ月」と行きつけの喫茶店の店長は話す。客が10分の1ほどになったという今も、ほそぼそと営業を続けている。ガラガラの店内で私は時々仕事をしている。
 客席の間隔を空けて窓を全開に。換気をよくしてこまめに店内を消毒。マスクもきちんと着用。テイクアウトのサービスも始めた。それでも今後の見通しは立たず、いつ融資を受けられるかも分からないという。
 喫茶店がやっているなんて大丈夫? と羅府新報の読者には驚かれそうだが、日本の緊急事態宣言下では営業が認められている。レストランや喫茶店、理髪店や美容院などは「自宅などで過ごす国民が必要最低限の生活を送るために不可欠なサービス」とされ、事業を継続する要請が出ている。
 とはいえ、不要不急の外出自粛を求められているので、店の客足は自然と減ることになる。客や従業員の感染リスクを恐れて多くの店が営業を自粛し、街の活気が失われ、それでさらに客足が遠のく。緊急事態宣言が1カ月延長され、出口が見えないまま、経営者たちは難しいかじ取りを迫られている。
 最近は企業の倒産のニュースも多く耳にする。経営難を苦にした自殺が増えることも予想され、心の相談窓口も紹介されている。4月末には東京のトンカツ店で火事があり店主が亡くなった。油をかぶって自殺したと見られている。
 生きるか死ぬか。追い詰められる市民がたくさんいる中で、国はこの期に及んでも有効な経済対策を示せないでいる。せいぜい出されたのは一律10万円の給付、そして、466億円もの経費をかけ、いまだに一部にしか配られていないマスクぐらいだ。
 なぜこんなにケチで決断が遅いのか。なぜサクッと支援の手を差し伸べることができないのか。初めにまとめて支給し、不公平が出た場合に後から調整するのではダメなのか。緊急時はとにかくスピードが求められるものなのだ。
 今はまだ他の先進国と比べて感染者と死者数は抑えられているのかもしれない。しかし意思決定機関は機能しているとは思えない。このツケが、今後さらなる倒産、失業、自殺につながっていく気がしてとても怖い。【中西奈緒】

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