ワカンダよ、永遠に!

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 会員制交流サイト(SNS)のインスタグラムで目にした一枚の写真に目を奪われた。黒人の少年が胸の前で腕をX型に組み祈るように目を閉じて座っている。彼の前にはヒーローの人形が10体ほど円を描くように並べられ、中央には黒い衣装の人形が1体仰向けに置かれている。「スパイダーマン」「キャプテン・アメリカ」ら「マーベル・コミック」の主人公たちと少年は深い悲しみに沈んでいるように見えた。
 8月28日、映画「ブラックパンサー」(2018)の主演俳優、チャドウィック・ボーズマンが死去した。42歳だった。親族の発表によると、ロサンゼルスの自宅で妻や家族に見守られながらの最期だったという。4年前にがんと診断された後も公にはせず、映画の撮影やプロモーション活動をしながら闘病を続けていた。
 才能ある若き俳優の突然の訃報はハリウッドに激震をもたらした。ソーシャルメディアには速報が流れ、親交のあった監督や俳優らが次々に追悼コメントを投稿。政界からも、オバマ前大統領夫妻、大統領選の民主党副大統領候補のハリス上院議員らが悲しみをつづった。ハワード大学の同窓であるハリス氏についてボーズマンは11日「YES カマラ・ハリス!」とツイートし、副大統領候補への正式指名を喜んだ。ピープル誌によれば、本人による投稿はこれが最後だったという。
 「ブラックパンサー」でボーズマンが演じたのは、アフリカの国ワカンダの君主ティ・チャラ。腕をX型に組む姿は凛として若き王の風格を存分に漂わせた。昨年公開の「アベンジャーズ~エンドゲーム~」でも味方の大ピンチにさっそうと現れ、強烈なインパクトを残した。私もマーベルファンである息子の影響を受け、数あるスーパーヒーローの中からティ・チャラをひいきにし「ワカンダよ、永遠に!」のフレーズに親しんだ一人だ。
 映画「42~世界を変えた男~」(2013)では黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンを演じたボーズマン。コロナ禍で4月15日から延期されていた今年のジャッキー・ロビンソン・デーに奇しくもその生涯を閉じたのだった。【麻生美重】

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