犠牲者阿部華子さんを日本へ:友人らオンラインで募金活動

0

SFのひき逃げ死亡事故

阿部さんの遺体を日本の自宅に返す資金を募るGoFundMeのサイト

 大みそかにサンフランシスコでひき逃げ犯に殺された2人のうちの1人は福島県出身の27歳の女性だった。被害者の阿部華子さんの友人たちは、遺族の待つ日本に「帰宅させる」ためにオンラインの募金集め「GoFundMe」でキャンペーンを行っている。

一方、亡くなった華子さんの母親は加害者に対して公正な処罰を要求している。加害者は仮釈放違反が繰り返されていたにもかかわらず、自由の身だったことが判明した。
 華子さんの友人5人が立ち上げたGoFundMeキャンペーンは、6日午後の時点で12万ドルに達し、目標の6万ドルを上回った。説明は次のとおりだ。
 2020年12月31日、親友のハナ(華子さん)はサンフランシスコのSOMA(サウスオブマーケット)地区の横断歩道を歩いていたときひき逃げ事故に遭い、命を落とした。運転手は強盗罪で仮釈放中の男で、運転していたのは盗難車だった。致命的なけがを負って救急救命室に運ばれたが、すぐに亡くなった。まだ27歳だった。
 ハナは回復力、勇気、そして希望にあふれていた。ハナは日本の福島で育ち、東日本大震災の地震と原発事故を生き延びた。震災にもかかわらず、ハナは夢を追い求めて最善を尽くし続けた。いつの日かアメリカに来ることができるように、英語の勉強に全力を注いだ。
 努力は実を結び、セントラル・アーカンソー大学に入学。コンピューター・サイエンスへの情熱を育んで、卒業後は2018年にサンフランシスコに移り、データエンジニアとしての夢を追い始めた。いつも温かい笑顔のハナは、どこででもすぐに友達ができた。
 ハナは家族から遠く離れていることに加えて、父親が大動脈解離を起こし、母親が肺がんと闘っているという大きな心配を負っていたが、過去1年間、COVID・19の真只中でも笑顔を絶やさず、私たちが知っている中で最も回復力があり楽観的な人物だった。
 ハナの前にはとても明るい未来が待っていた。両親にとっては愛情深い娘であり、私たちにとっては無欲無私のかけがえのない友人だった。その生涯があまりに悲劇的に短くされてしまった。私たちは親しい友人として、ハナの家族のための旅費と葬儀費用を負担して、母と弟が米国にハナを迎えに来て、ハナの体を日本に戻すことができるように、この募金活動を立ち上げている。ハナの母国である日本で、家族や親しい友人に囲まれて安らかに眠れるようにしたいと思っている。
 ハナはまた、家族に多額の経済的支援を提供してきた。残りの資金は、ハナがそうすることができなくなったので、直接遺族に渡される。
 そして最後に、このように結ばれている。
 「現在、日本ではGoFundMeがサポートされていないため、ハナの母親の許可を得て、この募金活動を立ち上げている。協力をよろしくお願いします。遠慮なく情報を共有して、私たちの活動の言葉を広めるのを手伝ってください」
 www.gofundme.comにアクセスして「HanakoAbe」を検索すると、阿部華子さんのGoFundMeページにアクセスできる。

亡くなった12月31日にインスタグラムに投稿した阿部さん。「今年もお世話になりました」とハッシュタグをつけている

 華子さんの母はツイッターで「家族全員が悲しみに打ちひしがれている」と発信し、「世界中どこを探しても他にいない最愛の娘は、私たちの誇りだった」と悲しみをつづった。
 地元ニュース局のKPIXによると、現場から逃走しようとしたがすぐに逮捕された容疑者はトロイ・マカリスター(45)と特定された。警察は、車内に拳銃と麻薬を発見したと発表した。阿部さんと2人目の犠牲者の女性は面識がなかったという。
 地方検察のレイチェル・マーシャル検事補によると、仮釈放中だったマカリスター容疑者はサンフランシスコで犯した犯罪で11月と12月に逮捕されたが、両事件とも州の仮釈放官が事件を引き取り、マカリスター容疑者は2回とも刑務所に送り返されるのを免れていた。
 マーシャル氏は声明のなかで、「私たちの検察局を含め、これに関与するすべての司法機関が、このような悲劇の発生を防ぐ責任を負わなければならないことに、疑いの余地はない」と述べ、「私たちは事件を注意深く検証し、別の方法で何ができたのかを厳しい目で考察している」と、態度を示した。
 サンフランシスコ警察のビル・スコット署長はツイッターで次のように述べた。「ミッション通りと2街で発生した昨夜の致命的なひき逃げ事件に際し、サンフランシスコ警察は犠牲者の家族に心を痛めている。このような無意味な悲劇は起こるべきではなかった。私たちが下す決定は、私たちが奉仕する人々の安全に深刻な影響を与える可能性があるため、そのような決定に対しては私たち全員が平等に責任を負わなければならない。それが刑事司法制度において私たち全員に求められていることだ。サンフランシスコの人々はそれを求める以上の価値がある」
 カリフォルニア更生・社会復帰局は声明の中で、「私たちの最優先事項は公安であり、この不幸な事件について地元のパートナーと協力していく。2020年に釈放された後の容疑者の逮捕については、地方検事による刑事告発にまだ至っていない状況だったが、仮釈放事務所は調査の実施や個人への適切な紹介など、事件後のすべての手続きに従っていた」と述べた。
 マカリスター容疑者は5日、裁判所で行われた罪状認否手続きで無罪を主張したと地元メディアが伝えている。全ての罪で有罪となれば30年超の禁錮刑が言い渡される可能性がある。
 同容疑者は昨年4月に司法取引を経て仮釈放された後、自動車窃盗や車上荒らしなどの容疑で複数回逮捕されながら訴追を免れていたとされ、検察当局に対する批判の声が高まっている。

Share.

Leave A Reply