新型コロナウイルスのワクチン接種が、身近なものとなってきた。最初は12月、メディカルセンターに勤務する息子だった。続いて1月には「自分も1回目を済ませた」と他州の娘から喜びの電話が入った。
 ワシントン州では1月半ばから、高齢者枠の予約がオンラインで開始。私もコンピューターの前に座り、試行錯誤の末に2月下旬の予約を取ることができた。2回目接種と合わせ、カレンダーに2つの丸印。胸が軽くなるのが分かった。
 毎朝目を通す地元紙も、コロナの感染者数や死者数というつらい数字だけが並んでいたのが、近頃はワクチン接種数を示す円形グラフが登場。接種を終えた人が毎日少しずつ増えており、ページを開くのが楽しみだ。何しろ、グラフ上の割合が大きくなればなるほど、コロナ収束の日が近づくのだから。
 とは言っても、いざワクチン接種となると、疑問がいくつか生じる。
 「日本で結核予防のBCG接種を受けて以来ツベルクリン反応では常に陽性だけれど、コロナワクチンも接種するとPCR検査は陽性になるのかしら」と友人。それでは私も困るが、「ワクチン接種で抗体が生じるけれど、PCR検査は抗体検査でないので大丈夫だよ」と息子に言われ、なんとなく納得。
 ワクチンを接種すると、コロナに感染しないのか、それとも感染しても軽くて済むのかという疑問には、「重篤にならずに済むということです」とかかりつけのN医師。感染する可能性も、感染させる可能性もそのままとなれば、マスクは当分の間必要だろう。
 ワクチン接種を終えた人に尋ねると、皆、1回目は問題ないが、2回目接種の後は2、3日いくぶん調子が悪かったという。「勤めは休むことにしておけばよかったと後悔しました」とN医師。息子も「寝汗をかいた。友人は頭がぼうっとしたって」。少々覚悟しておいた方がよさそうだ。
 シアトル郊外に住む男性が全米初の感染者となったのは昨年1月。郷里武漢から戻った翌日の発症だった。当時他人事に思えたコロナは、以来恐ろしい感染力で広がり、今では社会全体が影響下に。ワクチンの力で今年こそ収束をと期待している。【楠瀬明子】

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