宝飾店「安心堂」が閉店:小東京で愛され50年

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日本人と日系人を得意客に

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4月3日で営業を終了する安心堂。現在、閉店セールを行い特別価格で販売している

 日本人と日系人を得意客として小東京で50年営業した宝飾店「安心堂」(本社静岡)が来月3日で閉店する。米国安心堂の副社長兼小東京店ゼネラルマネージャーの星野和幸さんは「リトル東京で長い間お世話になり、感謝の言葉しかない」と述べ、半世紀にわたった歴史に幕を下ろす。

 米国安心堂は、日本に7店舗、ロサンゼルス、パリにそれぞれ1店舗を構える本社100パーセント出資の海外支店。1970年に米国進出し、小東京に出店した。昨年9月には、開店50周年を祝った。米国でのビジネスは完全に終了するが、他者に所有権を移譲することなく米国から撤退という形で幕を閉じる。大きな節目である50周年を迎えたことも閉店の一因となったという。
 開業当初は、地元の日系人を相手にビジネスを展開。80年代初めころから増え始めた日本からの団体観光客に合わせ、ティファニーやロレックス、ブルガリなど、人気の海外ブランドを取りそろえた。だが、90年代に入り日本のバブル期が終わると観光客が激減したため、2000年以降はターゲットを地元客に絞り直した。時代の移り変わりと客の好みに合わせて、「ジュエリーの基本」(星野さん)というゴールド、ダイヤモンド、カラーストーンを軸に品ぞろえを充実させてきた。日本製のきめ細かい作りのいい商品と、本社オリジナルの商品を提供し喜ばれてきた。デザイン・芸術性に優れたイタリア製のファッションジュエリーも人気を呼んだ。

営業を終える米国安心堂の副社長の星野和幸さん(左)と妻の智子さん。星野さんは「半世紀もリトル東京で営業させてもらうことができ感謝の言葉しかない」と話し、本社に帰任する

 50年の長い歴史で、小東京1店舗のみで営業した。小東京に腰を据えたのは、長年付き合いのある日本人、日系人の顧客を大切にしたためだ。駐在者が多いサウスベイなどに移れば、北方面からの客が不便になる。地理的に日系人が居住する各地域の中心に位置する小東京は好立地で、北はオックスナード、ベンチュラ、サンタバーバラ、南はサンディエゴ、東はダイヤモンドバー、リバーサイドなど遠方からの来客に配慮した。
 客層で最も多いのは日本人だが、次に多い日系人からも末長く愛されたことに星野さんは喜びを感じている。地域に根ざした経営は評判を呼び、日系諸団体のファンドレイズやゴルフ大会などで商品を寄付し続け日系社会を支えた。
 本社から派遣された星野さんは、1989年に赴任した。32年前の当時について「リトル東京には日本総領事館があり、商社や銀行など多くの日本企業がアメリカに進出し、旅行者も多く元気があった」と振り返る。日系社会については「日本人同士が結束し、日系の各団体がジャパン・エキスポなどを企画して成功させ活気があった。日本人の人口が減ったこともあり結束が薄れていて、他のアジア系社会の方が勢いがあるように思える」と語る。
 その頃日本人はすでにサウスベイ、ウエストLA、オレンジ郡など郊外に分散しており、各所に日系のスパーマーケットもあったものの、「まだリトル東京に出かける用がいろいろあった。だが徐々にリトル東京でしか手に入らないもの、リトル東京でしかできないことが減ってきた。今は日系人が減り寂しくなった」と悔しがる。その一方で「アジア系や白人などの他の人種が増えたことはいいこと」と歓迎する。
 星野さんはビジネスの心構えとして「支えてくれるお客さんのために、いかに満足してもらえる商品をそろえ、いいサービスを提供するかを考えていた」と言い、心を込めて接客した。個人の思い出としては「若かった30年以上も前からお付き合いしている方には息子のように接してもらった。(日本帰国を告げると)『元気でね』と息子を送り出すように涙ぐんで言ってもらった」と、感慨深げに語った。
 小東京と日系社会に対しては「安心堂の先輩社員が50年間に何もないところからスタートして、代々のマネージャーが店を守り無事に50周年を迎えることができた。日系人、日本人の方々に支えられてここまで50年間、半世紀もリトル東京で営業させてもらうことができ、一言で言い表すことができず、感謝の言葉しかない。安心堂一筋で40年以上お付き合いしてもらったお客さんもいて頭が上がらない。お世話になったとしか言いようがない」と、感謝に堪えない様子で話した。
 ホンダプラザ内で営業する安心堂は現在、愛顧にされたお返しに、感謝を込めた閉店セールを行い特別価格で提供している。セールは当初、31日までだったが、4月3日(土)まで延長した。
 営業時間は午前10時から午後6時。日曜は休業。
 電話213・622・5445。

日本製のきめ細かい作りのいい商品を取りそろえた安心堂の店内

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