八十八夜

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 五月。夏も近づき、「野にも山にも若葉が茂る」季節になりました。立春から数えて八十八日目が、八十八夜です。昔から霜が降りなくなるこの時期は稲の種まきや茶摘みの目安とされ、八十八夜に摘んだ新茶を飲むと病気にならない、と言われてきました。「八十八」を組み合わせると「米」という漢字になるので、豊作祈願とか末広がりという意味もあるそうです。
 子供の頃『茶摘み』を唄いながら、手遊びをした事を思い出しました。手を合わせたり、たたいたり、つかんだりする遊びです。最初に手をつないで、「せっせっせーの、ヨイヨイヨイ」と言っていました。あれは茶摘みと何の関係がある歌詞だったのでしょうか。何かのおまじないだったのでしょうか。
 そういえば、「せっせっせーの」という言葉は、多くのわらべ歌の最初に唄われます。例えば『お寺の和尚さん』や『アルプス一万尺』や『おちゃらかほい』でも唄われました。どうやら、「せっせっせーの」というのは、「せっせと早く行動しなさい」という意味もあったようですが、「いっせーのせっ」というような相手とリズムを合わせるために使う枕歌のようなものらしく、「ヨイヨイヨイ」も『東京音頭』や『木曽節』で唄われるように、語呂を整えるためのはやし言葉であるようです。語呂が良くて調子が合うので、多くのわらべ歌の最初に使われるようになったようです。
 こういったわらべ歌は、身振り手振りによる伝承や口承で伝わってきたので、地方や時代によってさまざまな歌詞の違いや、手遊びのバリエーションがあります。もちろん、最近ではわらべ歌を知っている子供も少ないので、シニアの方々の施設などで頭の体操に使われているようです。
 世界がどのような状態であろうと、自然は同じように移り変わり、新緑や花々は美しく咲き、夏の到来も進んで行くようです。季節の変わり目ですから、おいしい新茶をいただき、『茶摘み』を思い出しながら口ずさむのも良いかもしれません。夏も近づく八十八夜/野にも山にも若葉が茂る/あれに見えるは茶摘じゃないか/あかねだすきにすげの笠【朝倉巨瑞】磁針

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