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 高校生の頃から神保町の洋書店を覗くのが好きだったので、タトル出版、つまりチャールズ・E・タトルの名前には親しみをもっていた。  タトルは第2次大戦後の占領期の東京で、マッカーサー元帥直属の部隊に所属していた。バーモント州の実家は五世代にわたり存続している歴史ある出版社で、ハーバード大学卒業のタトルの東京での任務は、国会図書館の復興だったという。

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 シンガポールの建国の父リー・クアンユー元首相が亡くなった。享年91。当地に着任して間もない頃、名所である植物園を散歩していたら、まったりとした日曜日の夕方には似つかわしくない緊張感を漂わせるゴルフカートの一群が、すぐ横を通り過ぎた。ふと、2台目のカートに座っている少し青白い肌合いの老人の横顔をみて、私にも状況が察知できた。前から歩いてきてこのカートとすれ違った人々も、興奮気味に囁く。「LKY(名前の頭文字)だ」「ミニスター・メンター!(引退後、内閣顧問を務めた際の呼称)」「ミスター・リーだ」と。

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 10日間にわたる「シンガポール作家祭」が閉幕した。徒歩の距離に位置する大学や高校のホール、そして映画館、博物館や美術館などが即席の15会場となった。今年のテーマ「美への期待」と記されたパスを首からぶら下げた老若男女が、本を小脇にはさんで闊歩する景色は、普段の喧噪とは打って変わった和やかな空気をこの町に持ち込んでいた。