Browsing: 楠瀬明子

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 「ペンは剣より強し」とは、19世紀の英国人作家リットンの戯曲「リシュリー」の中のセリフだとか。  締め切りを気にしながらせっせと原稿用紙に向かっていた80年代。書き上げた原稿を植字担当者に手渡し、出来上がった紙面に反響を得た時には、ペンの力を実感したものだ。  そのうちに日本語原稿作成はワープロ利用となり、

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 日本から1週間ほどシアトルに、親戚の娘がやって来た。都心の職場に通っては夜遅く帰宅する毎日を送っているが、震災後、「これを日々繰り返すだけで一生を終わっていいのか」と疑問が湧いたのだという。  最初に連れて行ったのは、観光客でにぎわうパイクプレース・マーケット。100年以上の歴史を持ち、

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 今年も9月11日がめぐりくる。  誰もが驚愕したあの10年前の事件以来、多くが変わった。空港などでのセキュリティーの強化、イスラム系を見ればテロリストではないかと恐れる眼差しの出現。空からの突然の攻撃を、メディアの一部は、日本によるパールハーバー攻撃に例えた。

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 日本の知人が、ロサンゼルス在住の息子から「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとう」という電子メールを受け取った時、とっさに浮かんだのは息子の自殺だったという。  このところ鬱(うつ)気味の気配が感じられたので、様子を見るため夏には夫婦で渡米しようと航空券を手配した矢先のこと。

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 ナーシングホーム「敬老」が今秋50周年を祝うにあたり、長く貢献してきたボランティア団体の名を壁に刻んで顕彰する、という記事を羅府新報で読んだ。  実はシアトルにも「敬老」がある。正式には「シアトル敬老」で、高齢化した一世のために二世たちが、ロサンゼルスの「敬老」から多くを学んで1976年に設立した。

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 5月末から6月にかけては、巣立ちのときだ。  日系2世ビジネスマンが集って57年前に発足したシアトルファーストヒルライオンズクラブでは、卒業予定の市内の高校生に毎年、奨学金を贈っている。  今年も先週、選ばれた5人の高校生に昼食会で1000ドルずつが手渡された。

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 仙台の友人から、メールが転送されて来た。ボランティアの集めた家庭電化製品を、必要なら修理もして、仮設住宅に入る被災者のために届けている石巻の泉泰広さんからのメールだ。  「…お言葉を頂いて真剣に考えた末、今後お願いしたいのが、花の種です。それもひまわりです」。

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 世界中が大きな痛みを感じた大震災。被災地に家族・友人のおられる読者の心配はひとしおだっただろう。私たち夫婦も仙台の友人の安否を気遣った。  幸い自宅に被害の少なかった友人Mさんは、水産会社の駐在員家族として以前シアトルに長年暮らした。

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 グラリと来たのは昼食後、東京・銀座三越の9階で親戚の者と話をしているときだった。屋内の照明器具も外のクレーンも、いつまでもいつまでも大きく揺れた。  揺れがおさまり1階に移ってしばらくすると、館内アナウンスが、鉄道はJRをはじめ全線運行停止中であることを報じた。

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 日系アメリカ人の歴史を描いたTBSテレビドラマ『99年の愛』は昨年11月、日本で放映された。「移民の人は苦労したのですね。本当にあんな砂漠のような場所がカリフォルニアにあるのですか」などと尋ねる知人には、知っている限りで日系社会の歴史を説明した。

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 書斎に居ながらにして古い本を探すことが出来るようになったのは、オンラインショッピングのもたらした大きな変化の一つだろう。夫に頼まれて最近、二冊の専門書をインターネットで探した。

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