Browsing: 河野 洋

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 今年の8月は駆け足でやって来た。1週間が1日に、1日が1時間に感じる、と言っては大げさか。卒業式も入学式も置き去りにされた春が、今となっては遠い昔のことのよう。毎年、お盆が近づくと、原爆投下、終戦記念の文字が新聞紙面を飾る。それは永遠に消えない傷跡であり、平和な未来を作る礎となる。

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 子供の頃、国語も作文も嫌いだった。なのに、今では定期的にエッセーを書いたり、仕事で執筆したりしている。「自分の人生は誰が決めるのか?」。人生のエッセーは、いつもこの回答のない永遠の疑問文で始まる。誰だってもちろん両親を選ぶことはできないし、生まれてくる国も、家族、親戚、隣人、小学校の同級生も全て用意されている。

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 去る5月23日、日本ではネット上の誹謗(ひぼう)中傷が端緒となり、リアリティショーで活躍していた木村花氏が自殺という悲惨な事件が起きた。SNSは私生活をガラス張りにし、身元不明の閲覧者たちは断片的な情報で発信者を狙い撃ちする。称賛、激励ならありがたいが、うかつに失言すれば、言葉のミサイル弾が四方八方から撃ち込まれる。

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 ブロンクスにあるHART ISLANDの存在を、つい先日ニュースで初めて知った。ここは1869年を機に、身寄りのない死者の埋葬が始められた島で、戦死者、ホームレス、AIDSや結核患者など、魂と分離した孤独の屍が百万以上も横たわっているという。  パンデミックが起こるまで、約百体という1週間の平均埋葬数が今ではその5倍に跳ね上がったらしい。

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 3月22日にロックダウンが発令されてから、間も無く1カ月。鳥籠のセキセイインコでもあるかのように部屋に軟禁され、見慣れきった平凡な風景を窓から眺める日々が続く。ふと見ると、裏向かいの家の窓に足をそろえた黒白猫が外を見ている。たまにこちらを見ては「調子はどうだい?」と言っているかのようだ。

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 世界の中心都市ともいえるニューヨークが悲鳴をあげている。同時多発テロ、大停電、ハリケーン・サンディー、あらゆる試練を乗り越えてきたこの街が、今、新型コロナウイルスの最大の標的になっている。今や感染者数がどの国より多いアメリカだが、ニューヨーク州は断トツ。