幻の聖火最終ランナー
東京五輪は1年延期となった。2年前のこの欄で「64年東京五輪開会式での出来事」を書いた。戦後まだ19年ばかりの日本が戦禍からの復興を世界に示したスポーツの祭典、その聖火リレーで聖火台に点火する最終走者に選ばれたのが広島で原爆が投下された日に生まれて育った坂井義則さんだった。故に彼はその時19歳。
東京五輪は1年延期となった。2年前のこの欄で「64年東京五輪開会式での出来事」を書いた。戦後まだ19年ばかりの日本が戦禍からの復興を世界に示したスポーツの祭典、その聖火リレーで聖火台に点火する最終走者に選ばれたのが広島で原爆が投下された日に生まれて育った坂井義則さんだった。故に彼はその時19歳。
久しぶりに帰省した青森・弘前は、高速道路の山側にはもうリンゴが紅く熟れ始め、ススキが揺れて爽やかな風が吹いていた。 帰路は、弘前から新青森駅で新幹線。9月初旬の旅は秋晴れで、津軽平野は一面の黄色い稲穂。遠くに八甲田山脈が広がり、山裾にはリンゴ畑が連なって遠くの雲も秋の気配。