Browsing: 遺品

磁針
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 まな板の上のコイのごとく観念して、歯科医院の治療椅子で口を開けている私に向かって、メキシコ系の歯科衛生士の女性が、「日本人なの? 私はNHKワールドをよく見るわよ」と言ったのがきっかけ。あまりに意外だったが、「ベネシアさんの番組が好きだったわ」などと言うから、お愛想ではなさそうだ。

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 大林宣彦監督が永い「ロケハン」に旅立ってから、ちょうど5カ月目に自宅を訪問しました。人が集まれない状況下で、葬式にも出席することができませんでした。玄関の呼び鈴の音が、懐かしくも寂しくも響くと、奥様の恭子さんが笑顔で出迎えてくれました。「今日は監督の月命日にお会いできてよかったです」と伝えると、「そうだったですね」と微笑み、映画の資料がたくさん乗っているテーブルに招かれました。